トッテナム・ホットスパーのドミニク・ソランケは、クラブの未来を象徴する存在でありながら、その立場は不安定さを増している。昨季は公式戦45試合で16ゴール8アシストを記録し、ボーンマス時代の得点力をプレミア上位クラブでも証明したかに見えた。
しかし今季は足首の負傷に悩まされ、ここまで公式戦わずか3試合、合計49分間の出場にとどまっている。
英『TEAMtalk』の報道によれば、トッテナムはソランケを来年放出する意向を持っていない。クラブは彼に対して辛抱強く待つ姿勢を示し、即座の結果を求めるのではなく、時間をかけて本来の力を取り戻すことを期待している。
移籍金5500万ポンドという重責を背負って加入したものの、ここまでのパフォーマンスは期待値に届いていない。しかし、クラブは彼の潜在能力を信じ、復調の兆しを見せる日を待ち続ける構えだ。
一方で、トーマス・フランク新監督は新たなストライカーの獲得を熱望していると報じられておりソランケが復帰後すぐに結果を残せなければ、売却候補に名を連ねる可能性もある。
ゴール欠乏と競争の必要性
トッテナムはプレミアリーグで5勝2分2敗とまずまずのスタートを切り、順位表では3位につけている。しかし、ニューカッスルに0-2で敗れたEFLカップでは、攻撃の迫力不足が露呈した。モハメド・クドゥスやジョアン・パリーニャといった新戦力は躍動しているものの、ゴール前での決定力は依然として課題のまま。
リシャルリソンの去就が不透明で、レンタル加入のランダル・コロ・ムアニも十分な結果を残せていない。スパーズが本気でタイトルを狙うなら、ソランケ一人に頼るわけにはいかない。競争こそが選手を成長させる。新たなストライカーを加え、ソランケにとっても「居場所を守るための戦い」が必要だ。
28歳というキャリアのピークを迎える年齢に差し掛かっているソランケにとって、今季後半戦はキャリアを決定づける分岐点となる。ここで殻を破れるかどうかが、彼の評価を決定づける。
数字が示すソランケの価値と課題
昨シーズンのソランケは、プレミアリーグでの得点期待値(xG)においてもチームトップを記録し、シュート精度や空中戦勝率でもリーグ平均を上回っていた。特にペナルティエリア内での動き出しと、相手CBを背負いながらのポストプレーは、ボーンマス時代から磨き上げてきた武器である。
しかし今季は負傷の影響でリズムを失い、わずかな出場時間では本来の力を発揮できていない。フィットネス不足によりスプリント回数やデュエル勝率も低下しており、復帰後にどこまでコンディションを取り戻せるかが最大の焦点となる。
個人的な見解
ソランケのキャリアを追ってきた立場からすると、彼は「消える」タイプのストライカーではない。
むしろ、逆境に直面したときにこそ力を発揮する選手だと感じている。ボーンマス時代も序盤は批判を浴びながら、最終的にクラブの得点源として評価を覆した。今回も同じように、批判と不安を跳ね返す可能性は十分にある。
ただし、トッテナムというクラブの現実は待ってくれない。フランク監督が新ストライカーを求めている以上、ソランケは復帰後すぐに結果を残さなければならない。もし冬の移籍市場で競争相手が加われば、彼の立場はさらに厳しくなるだろう。
個人的には、ソランケが完全復活を遂げるためには「ゴール」という最もシンプルで説得力のある結果が必要だと思う。1点でも決めれば、流れは変わる。逆に沈黙が続けば、クラブの忍耐は限界に達する。
2025/26シーズン後半戦は、彼のキャリアにおいて最大の試練であり、同時に最大のチャンスでもある。
