トッテナム・ホットスパーの補強戦略において最も注目を集めているのが、ブレントフォードのブラジル人ストライカー、イゴール・チアゴだ。
今季プレミアリーグで10試合6得点という鮮烈なスタートを切った24歳は、ブレントフォードの攻撃を牽引する存在となり、その名を一気に広めた。英『CaughtOffside』によれば、トッテナムはすでに4000万ユーロ規模のオファーを検討しており、移籍成立の確率は「86%」とまで報じられている。
ブレントフォードは今夏、ブライアン・ムベウモをマンチェスター・ユナイテッドへ、ヨアネ・ウィサをニューカッスルへ放出し、攻撃陣の再編を余儀なくされた。そんな中で台頭したのがチアゴであり、彼の存在はクラブにとって生命線となっている。
ブレントフォードは1月の放出を否定しているが、トッテナムやアストン・ヴィラ、さらにはニューカッスルも獲得に動いており、冬の移籍市場で最も注目されるストライカーの一人となった。
トッテナムの補強戦略とチアゴの適性
トッテナムがチアゴに強い関心を示す背景には、前線の選択肢不足がある。ドミニク・ソランケが長期離脱で、トーマス・フランク監督にハマっているとも言い難い。さらに、レンタルで加入しているランドル・コロ・ムアニも来夏以降の去就が不透明であり、クラブは中長期的なストライカー確保を急務としている。リシャルリソンもエースの座を射止めるレベルからは程遠い。
チアゴのプレースタイルは、トッテナムの攻撃に新たな可能性をもたらす。190cm近い体格を活かした空中戦の強さに加え、裏へ抜けるスピードとゴール前での冷静さを兼備している。今季の得点の多くは、相手ディフェンスラインの隙を突いたワンタッチシュートや、セカンドボールへの素早い反応から生まれている。これはソランケのフィジカル主体のスタイルとは異なり、攻撃の多様性を広げる要素となる。
さらに、トッテナムは完全移籍ではなく、ローンに買取オプションを付ける形を模索していると報じられている。これは財務的リスクを抑えつつ、選手の適応度を見極めたいという意図の表れだ。ニューカッスルやアストン・ヴィラが即金での獲得を狙う中で、この柔軟なアプローチが交渉の行方を左右する可能性がある。
プレミアリーグ全体に与える影響
もしチアゴがトッテナムに加入すれば、プレミアリーグの勢力図にも影響を及ぼすだろう。ブレントフォードにとっては毎年のように攻撃の柱を失うことになり、残留争いに直結しかねない。一方で、トッテナムは攻撃の厚みを増し、トップ4争いにおいて大きなアドバンテージを得ることになる。
また、ニューカッスルやアストン・ヴィラといったライバルクラブも同選手を狙っているため、移籍先によっては欧州カップ戦の出場権争いに直接的な影響を与えるだろう。
個人的な見解
イゴール・チアゴの移籍話は、単なる噂の域を超えて、トッテナムのクラブ戦略を象徴するテーマとなっている。
ソランケに依存する現状を打破し、攻撃のオプションを増やすことは、シーズン後半戦を戦い抜く上で不可欠だ。特に欧州カップ戦とプレミアリーグの両立を考えれば、前線の厚みは勝敗を分ける要素となる。
一方で、ブレントフォードが簡単に手放すとは考えにくい。昨季の不完全燃焼から今季の飛躍を遂げたチアゴは、クラブにとって貴重な存在になりつつある。もしトッテナムが本気で獲得を狙うなら、3000万ポンド規模のオファーではなく、より強い決意を示す必要があるだろう。
個人的には、チアゴがスパーズに加われば、攻撃の幅が一気に広がると確信している。トッテナムが本気でタイトルを狙うなら、この冬の補強は決して見過ごせない。
