リヴァプールが最優先補強ターゲットとしているのは、ボルシア・ドルトムントのセンターバック、ニコ・シュロッターベックだ。スペイン紙『Fichajes』の報道によれば、クラブはすでに選手サイドと前向きな交渉を行っており、移籍金は5000万ユーロを超える規模になると見られている。
さらにリヴァプールは、週給27万ユーロという破格の条件を提示する準備を進めている。一方で、ドルトムントは年俸800万ユーロ前後の延長オファーを提示しているが、同僚のニクラス・ジューレが1400万ユーロを受け取っていることを考えると、待遇差が移籍の引き金となる可能性は高い。
シュロッターベックは25歳にしてドルトムントの守備の柱であり、ドイツ代表でも主力を担う存在だ。10月のワールドカップ予選では北アイルランド戦で無失点に貢献し、ドイツメディアからは「ヴァージル・ファン・ダイクを思わせる存在」と評された。
左利きのセンターバックという希少性に加え、対人守備の強さとビルドアップ能力を兼ね備えた彼は、リヴァプールにとって理想的な補強ターゲットである。
リヴァプールの守備陣は今季、深刻な課題を抱えている。ジョヴァンニ・レオーニの長期離脱、イブラヒマ・コナテの契約満了間近という現実が、クラブを補強へと駆り立てている。
アルネ・スロット監督は戦術的柔軟性を重視するが、センターバックの層が薄ければ構想全体が崩れかねない。シュロッターベックの加入は、守備再建の中心人物となるだろう。
バイエルンとレアルの影、そしてリヴァプールの決断
リヴァプールの前に立ちはだかるのはドルトムントだけではない。バイエルン・ミュンヘンとレアル・マドリードもシュロッターベックに関心を示しており、契約延長が難航すれば介入する可能性が高いとされている。ブンデスリーガの盟主バイエルンが動けば、移籍市場の構図は一変する。リヴァプールにとっては時間との戦いでもある。
一方で、シュロッターベック本人は「代理人と話し合いながら冷静に決断する」とコメントしており、現時点で移籍を急ぐ姿勢は見せていない。
しかし、プレミアリーグ挑戦への意欲は以前から示唆されており、リヴァプールの提示する条件はその夢を現実に近づけるものだ。もしこの移籍が実現すれば、リヴァプールは守備の安定と攻撃の推進力を同時に手に入れることになる。
シュロッターベックのプレースタイルは、リヴァプールの戦術に完璧にフィットする可能性を秘めている。ブンデスリーガでの空中戦勝率は65％を超え、セットプレーの局面でも攻守両面で存在感を発揮してきた。
さらに、平均パス成功率は88％に達し、縦への鋭いフィードで中盤を飛ばす展開力を持つ。ファン・ダイクが築いてきた「空の支配」と「後方からの組み立て」を継承できる数少ない人材であり、プレミアリーグのフィジカルバトルにも即座に適応できるだろう。
個人的な見解
リヴァプールがシュロッターベックに注ぐ熱意は、クラブの未来を左右する決断に直結していると感じる。ファン・ダイクが築いた守備の象徴性を継承できる存在は限られており、シュロッターベックはその数少ない候補の一人だ。
彼のリーダーシップと冷静な配球力は、アンフィールドに新たな安定感をもたらすだろう。特に左足から繰り出される正確なフィードは、前線のタレントを一層輝かせるはずだ。
ただし、バイエルンやレアルといった欧州の強豪が本格的に動けば、交渉は一気に複雑化する。ドルトムントが提示する延長条件に選手が納得しない限り、移籍の可能性は高まるが、リヴァプールがこの競争を制するには迅速かつ大胆な決断が求められる。
もしシュロッターベックがアンフィールドに立つ日が来れば、それはクラブの新時代の幕開けを告げる瞬間となるだろう。