マンチェスター・シティはふたたびバレンシアの17歳攻撃的MFハウメ・ドゥラに強い関心を寄せている。スペイン紙『El Desmarque』の報道によれば、昨年エティハド行きを拒否してバレンシアと2027年までの契約を結んだにもかかわらず、シティは諦めるどころか「次の一手」を模索しているという。
ドゥラは2008年生まれのエル・パロマル出身。15歳でバレンシアBチーム(メスタージャ)にデビューし、フェラン・トーレスやイ・ガンインよりも早い昇格を果たした。今季はセグンダ・フェデラシオンで5試合に出場し、プレミアリーグ・インターナショナルカップでもプレー。出場時間は限られているが、既にトップクラブのスカウトが足繁く通う存在となっている。
さらに、スペインU-17代表としても国際舞台を経験。2025年3月の欧州U-17選手権予選ではオーストリア、ドイツ、ノルウェーと対戦し、得点も記録している。代表での経験値は、彼の成長曲線を一段と急激に押し上げている。
今夏退団したデ・ブライネの後継者候補としての資質
シティがドゥラにこだわる理由は、この夏に退団したベルギー代表MFケビン・デ・ブライネに代わって、クラブは次世代の創造主を探している。フィル・フォーデンやタイアニ・ラインデルスが中盤を支えているものの、ペップ・グアルディオラは「異なる角度から試合を決定づける存在」を求めている。
ドゥラの最大の特徴は、狭い局面を切り裂く視野と右足の精度だ。相手の守備網を一瞬で分断する縦パス、ゴール前に飛び込むタイミングの鋭さは、既に成熟したプレーメーカーの片鱗を見せている。バレンシアの指導者たちは「彼の判断力は年齢を超えている」と評されている。
ただし、現時点でトップチームでの公式戦デビューはまだない。バレンシアは彼をクラブの未来と位置づけ、2027年までの契約を盾に強気の姿勢を崩していない。シティが本格的に動く場合、移籍金は数千万ユーロ規模に達する可能性が高い。
バレンシアにとっての象徴、シティにとっての未来
バレンシアにとって、ドゥラはただのアカデミー出身の有望株ではない。クラブの再建を託す象徴的存在であり、ファンにとっては希望そのものだ。財政難に苦しむクラブにとって、彼を売却することは短期的な資金繰りを助ける一方で、長期的な競争力を削ぐリスクを伴う。
一方のシティにとっては、デ・ブライネの後継者を外部から迎えるか、フォーデンやライネデルスを中心に据えるかという選択肢の中で、ドゥラは「未来を形作るピース」として浮上している。グアルディオラの戦術哲学に適応できるかどうかは未知数だが、彼のプレースタイルはシティのポゼッションサッカーと高い親和性を持つ。
個人的な見解
ハウメ・ドゥラの移籍話は、シティが未来の中盤像をどう描くかという問いに直結している。
デ・ブライネという異次元のタレントの長期的な後継者を外部から迎え入れるか、それとも既存の選手を進化させるのか。その選択肢の一つとして、17歳のスペイン人が浮上しているのだ。
私自身は、ドゥラがすぐにプレミアリーグで主役を張るとは考えていない。だが、彼のプレースタイルにはシティの哲学と響き合う要素が多い。
特に、ポゼッションの中で相手を崩す冷静さと、決定的な場面での勇気ある選択は、グアルディオラが好む資質だ。今後2〜3年でトップチームに定着できるかどうかが、彼のキャリアを大きく左右する。
バレンシアにとっても、彼はクラブの未来を象徴する存在。シティが本気で動けば、スペインの育成文化とプレミアリーグの資本力が再び交錯するだろう。
