ACミランの守護神マイク・メニャンの未来は大きな転換点を迎えている。イタリア紙『Gazzetta dello Sport』の報道によれば、チェルシーがフランス代表GKをめぐる争奪戦をリードしており、来夏のロンドン行きが現実味を帯びている。契約は2026年6月で満了を迎えるが、延長交渉は停滞したまま。クラブ側が再三の交渉再開を試みても、合意には至らず、退団はほぼ既定路線となった。
この動きは、チェルシーが長年抱えてきたゴールキーパー問題を解決する可能性が高い。ロベルト・サンチェスは一定のセーブ力を見せてきたが、安定感や足元の技術に不安を残している。エンツォ・マレスカ監督が志向するポゼッション重視のスタイルにおいて、後方からのビルドアップを担える守護神は不可欠。
一方のミランは、すでに後任探しに動き出している。パルマで活躍する鈴木彩艶やトリノのヴァンヤ・ミリンコビッチ・サビッチが候補に挙がっている。特に鈴木はセリエAでの安定したパフォーマンスとPKストップで評価を高めており、現地で視察したジェフリー・モンカーダTDも高く評価しているという。ミランにとっては、守備の象徴を失う痛手をどう埋めるかが最大の課題となる。
メニャンがチェルシーにもたらす戦術的インパクト
メニャンの強みは、シュートストップだけではない。彼は冷静な判断力と正確なフィードで最終ラインを統率し、攻撃の第一歩を演出できる。
2021年にリールからミランへ加入して以来、セリエA制覇やスーペルコッパ・イタリアーナ制覇に貢献し、フランス代表でも正守護神として地位を確立してきた。ウーゴ・ロリスの後継者として国際舞台で経験を積んできたことも、チェルシーにとって大きな魅力だ。
チェルシーは今季、若手主体のチームを構築しながらも、要所での経験不足が露呈している。メニャンの加入は、守備陣に安定感を与えるだけでなく、若手選手たちに安心感をもたらすだろう。さらに、彼のリーダーシップはロッカールーム全体に影響を及ぼし、クラブの再建プロジェクトを加速させる可能性がある。
興味深いのは、チェルシーがメニャンに加えて、バルセロナのマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンにも関心を示している点。これはクラブがいかに守護神問題を重視しているかを示すものであり、メニャン獲得が失敗した場合の保険とも考えられる。しかし、現時点で最も現実的な選択肢はメニャンであり、今夏から狙い続ける大本命と言って過言ではない。
個人的な見解
メニャンの移籍は、チェルシーにとってクラブの未来を左右する分岐点になると考えている。
ここ数年、ケパ・アリサバラガやエドゥアール・メンディ、そしてロベルト・サンチェスと、守護神の座は安定しなかった。だが、メニャンが加われば、その不安定な歴史に終止符を打つことができる。
一方で、ミランにとっては守護神を失うことになる。メニャンはセリエA制覇の立役者であり、キャプテンとしてもチームを支えてきた。
その退団は戦力的な損失にとどまらず、精神的支柱を欠くことを意味する。後任候補として名前が挙がる鈴木彩艶やミリンコビッチ・サビッチがどれほどのインパクトを残せるかは未知数であり、クラブの未来は大きな試練に直面している。
個人的には、メニャンがスタンフォード・ブリッジに立つ姿を想像すると、プレミアリーグの勢力図が変わる可能性を強く感じる。
彼の安定感とリーダーシップは、若手主体のチェルシーにとって欠けていた最後のピースとなるはずだ。2026年夏、この移籍が正式に成立すれば、チェルシーは再び欧州の頂点を狙えるチームへと進化するだろう。
