アーセナルは再びラ・リーガの才能に目を向けている。標的は22歳のスペイン人ミッドフィールダー、ハビ・ゲラだ。スペイン紙『Fichajes』の報道によれば、アーセナルは来夏の移籍市場に向けて2000万〜2500万ユーロ規模のオファーを準備しており、バレンシアの財政難を突く形で交渉を進める可能性が高い。
ゲラは2022/23シーズンにトップチームへ昇格し、翌シーズンにはラ・リーガで主力に定着。これまで公式戦通算101試合出場、8得点6アシストを記録している。今季も既にラ・リーガで11試合に出場し、2アシストをマーク。『FBref』のデータによれば、直近365日でショットクリエーション14回、ゴールチャンス創出2回と、攻撃面でも存在感を示している。
しかし、バレンシアはクラブとしての方向性を見失い続けている。財政難に加え、近年はクリスティアン・モスケラをはじめとする若手を次々と手放してきた。ゲラは2025年8月に2029年までの契約延長を発表したものの、その直前には契約条件を巡ってクラブと対立し、マンチェスター・ユナイテッドやACミランからの関心も報じられていた。
つまり、契約延長は必ずしも将来の安定を意味せず、移籍の可能性は依然として残されている。
アーセナルの中盤再建とゲラの適性
アーセナルがゲラに注目する背景には、中盤の世代交代がある。ジョルジーニョとトーマス・パルティが契約満了で退団。スペイン代表MFマルティン・スビメンディやクリスティアン・ノアゴールを迎え入れており、選手層は揃っている。ただし、将来を見据えた補強に余念がない。
ゲラの強みは守備範囲の広さと縦への推進力にある。187cmの体格を活かした空中戦の強さに加え、ボール奪取から前進する力はプレミアリーグの激しいトランジションに適応しやすい。さらに、ラ・リーガでの平均1.55本のシュート、0.17アシストというデータは、守備的MFでありながら攻撃にも絡めることを示している。
アーセナルが提示するとされる2000万〜2500万ユーロの金額は、ゲラの市場価値に見合う水準であり、バレンシアの財政状況を考えれば現実的な交渉ラインだ。リリース条項は1億ユーロに設定されているが、クラブがその額を固守する可能性は低いと見られている。
個人的な見解
アーセナルにとって、ハビ・ゲラは中盤の未来を担う人材になり得る。デクラン・ライスと並ぶことで、守備強度と攻撃の推進力を兼ね備えた中盤を形成できる。特にプレミアリーグの強度において、ゲラの運動量とフィジカルは即戦力として期待できる。
ただし、課題もある。ゲラはまだ22歳と若く、プレミアリーグ特有のスピードと強度に適応するには時間が必要だ。アルテタの戦術理解度を高めるには数カ月単位の準備期間が必要であり、即座にチームの中心を担うのは難しいかもしれない。
しかし、長期的に見れば、ライスとゲラを軸にした中盤はアーセナルの未来を支える強固な基盤となるはずだ。
結論として、アーセナルがゲラに投資する価値は十分にある。クラブが再びプレミアリーグの頂点を狙うためには、若く才能ある選手を確保し、世代交代をスムーズに進めることが不可欠。ゲラの移籍は、その象徴的な一歩になる可能性を秘めている。
