移籍市場を揺るがす名前のひとつがヴィティーニャだ。スペイン紙『Fichajes』の報道によれば、リヴァプールはパリ・サンジェルマンの中心選手であるポルトガル代表MFヴィティーニャに強い関心を示している。提示される可能性がある金額は9000万ユーロから1億ユーロ規模に達するとされ、クラブの中盤強化計画の象徴的存在として浮上している。
ヴィティーニャは2022年にポルトからPSGへ加入して以来、ルイス・エンリケ体制の中で不可欠な存在へと成長した。今季リーグ・アンでは10試合で1ゴール4アシスト、チャンピオンズリーグでも3試合で1ゴール1アシストを記録し、平均採点は7.13とリーグ全体でもトップクラスの評価を受けている。
そのプレースタイルは、守備的な安定感と攻撃の推進力を兼ね備え、ライン間でのパス供給やリズムの創出において群を抜いている。
アルネ・スロット監督が率いる体制において、フロリアン・ヴィルツやアレクシス・マック・アリスター、ドミニク・ソボスライといった既存の中盤陣に加え、より多様な戦術オプションを求めている。ヴィティーニャが加われば、プレッシングとポゼッションの両面でバランスを取れる中盤が完成し、プレミアリーグと欧州の舞台でさらなる競争力を発揮できるだろう。
レアル・マドリードの動きとヴィティーニャの価値
一方で、ヴィティーニャを巡る争奪戦にはレアル・マドリードも参戦している。シャビ・アロンソ監督はヴィティーニャを中盤再編の最重要ターゲットと位置づけ、1億ユーロ規模のオファーを準備しているとの報道も出回っている。
さらに注目すべきは、ヴィティーニャが2025年のバロンドール投票で3位に入ったという事実。これは彼がヨーロッパ最高峰の中盤選手として確固たる地位を築いた証拠である。PSGのトレブル達成に大きく貢献した2024/25シーズンの活躍は、彼の市場価値を一気に押し上げ、現在の推定市場価値は8000万ユーロに達している。
PSGとしては、契約が2029年まで残る選手を簡単に手放す理由はない。しかし、財政的な柔軟性を確保するために将来的な売却を検討する可能性は否定できない。特に、レアル・マドリードのように1億ユーロ規模のオファーを提示するクラブが現れれば、交渉のテーブルに着く余地は生まれる。
個人的な見解
ヴィティーニャは、現代サッカーにおける「万能型ミッドフィールダー」の完成形に近い存在だ。
守備ではインターセプトとポジショニングで相手の攻撃を寸断し、攻撃では縦への推進力とライン間での創造性を発揮する。
リヴァプールに加入すれば、プレミアリーグの激しいテンポに適応しつつ、スロット監督の戦術に新たな深みを与えるだろう。
ただし、現実的にはPSGが今冬に彼を放出する可能性は極めて低い。むしろ、リヴァプールが本気で動くならば、来夏以降の長期的な補強計画の一環として考えるべきだと感じる。
一方で、レアル・マドリードにとっては、ヴィティーニャ獲得は必要不可欠な投資と言える。カマヴィンガやチュアメニといった若手と組み合わせることで、ポスト・モドリッチ時代の中盤を長期的に支配できる布陣が完成する。
特に、シャビ・アロンソ監督の戦術哲学において、ヴィティーニャのようなゲームコントローラーは不可欠なプレーヤーになり得る。
結論として、ヴィティーニャを巡る移籍戦線は、あくまで噂でしかない状態。とはいえ、リヴァプールにとっては夢の補強、マドリードにとっては現実的なターゲット。2026年夏の移籍市場は、彼の去就を軸に大きく動くことになるだろう。
