アンフィールドの夜に響く歓声の裏で、静かに進んでいる交渉がある。フランス代表センターバック、イブラヒマ・コナテの契約延長問題だ。ファブリツィオ・ロマーノ氏によれば、リヴァプールとコナテの話し合いは進展を見せているものの、緊急性はなく、むしろ「複雑さ」が漂っているという。
最新情報によると、リヴァプールはコナテに対して複数回のオファーを提示してきたが、選手側はこれまでにいくつかを拒否している。その背景には、給与面や契約年数だけでなく、クラブの将来的なビジョンへの不安もあるとされる。
リヴァプールはフィルジル・ファン・ダイクの後継者としてコナテを据えたい意向を持っているが、レアル・マドリードが虎視眈々とその動向を追っている。
現在の契約は2026年まで残っているものの、延長がまとまらなければ来夏以降の移籍市場で大きな波乱要因となる。特に、ファン・ダイクの年齢を考えれば、コナテがチームの守備の軸を担うべき存在であることは明白。にもかかわらず、交渉が「複雑」と表現されるのは、クラブと選手の間に微妙な温度差があるからだ。
リヴァプール守備の未来とコナテの役割
コナテは2021年にRBライプツィヒから加入して以来、リヴァプールの守備に安定感をもたらしてきた。スピードとフィジカルを兼ね備え、対人戦に強く、空中戦でも圧倒的な存在感を示す。
データ面でも、2024/25シーズンのプレミアリーグでは平均タックル成功率72%、空中戦勝率68%を記録し、守備の要としての地位を確立している。
しかし、負傷離脱が多いことも事実であり、クラブが長期契約に踏み切る際のリスク要因となっている。アルネ・スロット監督は彼をファーストチョイスとして起用し続けているが、シーズン序盤の不安定なパフォーマンスは議論を呼んだ。
それでも、ファン・ダイクの後継者として最も現実的な選択肢はコナテであり、彼を失うことはリヴァプールにとって守備の再構築を余儀なくされる事態を意味する。
個人的な見解
コナテの契約交渉は、単なる延長か否かの問題ではなく、リヴァプールの守備の未来を象徴するテーマだと感じる。
ファン・ダイクがキャリアの終盤に差し掛かる中で、クラブは次世代のリーダーを確立しなければならない。
その筆頭候補がコナテである以上、交渉を「複雑」として先送りにする余裕はない。むしろ、クラブのビジョンを明確に示し、彼にとって魅力的なプロジェクトを提示することが不可欠。
一方で、レアル・マドリードの影は常に背後にある。彼らは世界最高峰の舞台を提供できるクラブであり、選手にとって魅力的な選択肢であることは否定できない。
だからこそ、リヴァプールは「契約延長」という事務的な手続きではなく、「未来への約束」として交渉を進めるべきだ。コナテがアンフィールドでキャリアのピークを迎える姿を見たい。それがファンの願いであり、クラブの使命でもある。