チェルシーがアトレティコ・マドリードのアルゼンチン代表FWジュリアン・アルバレス獲得に向けて、クラブ史上最高額となる1億5000万ユーロのオファーを準備しているとスペイン紙『Fichajes』が報じた。
この金額は、かつてエンソ・フェルナンデス獲得に費やした1億2100万ユーロを大きく上回るものであり、プレミアリーグの移籍市場における新たな基準を打ち立てる可能性がある。
アルバレスはマンチェスター・シティからアトレティコへ移籍後、ディエゴ・シメオネの下で攻撃の中心選手へと成長した。ラ・リーガでの得点力と献身的な守備、そして複数ポジションをこなす柔軟性によって、彼はクラブのアイコン的な存在となっている。
今季も公式戦で得点とアシストを重ね、アトレティコの攻撃を牽引している。チェルシーが彼に注目する理由は明らか。前線に多彩な人材を抱えながらも、決定的な試合を動かす存在が不足している現状を打破するために、アルバレスの万能性が必要とされているのだ。
アルバレスの万能性とチェルシーの戦術的課題
アルバレスの最大の強みは、ストライカーとしての決定力だけでなく、セカンドストライカーやトップ下、さらにはウイングとしても機能する点にある。昨季ラ・リーガでは29ゴールを記録し、得点力を証明しただけでなく、味方を活かすプレーでも存在感を示した。シメオネの戦術において、彼は攻撃の起点であり、守備の第一線でもある。
マンチェスター・シティ時代には通算103試合に出場し、36ゴール19アシストを挙げた。アーリング・ハーランドとともに強力な攻撃陣を形成した経験を持ち、プレミアリーグの激しい環境でも十分に通用する。
チェルシーは今季、エンツォ・マレスカの下で攻撃的なスタイルを志向している。ジョアン・ペドロやリアム・デラップ、コール・パーマーらが得点に絡んでいるものの、試合を決定づけるエースが欠けている。
アルバレスが加われば、彼らの能力を引き出しつつ、自らもゴールを量産できる。さらに、エンソ・フェルナンデスという同胞が在籍していることは、アルバレスにとって心理的な後押しとなり得る。チェルシーはこの南米の絆を交渉材料として活用しようとしている。
バルセロナ、PSGも参戦する獲得戦線
アルバレスを巡る争奪戦はチェルシーだけではない。バルセロナは財政的な制約を抱えながらも、次世代のスターとして彼を狙っている。しかし、1億5000万ユーロという金額はクラブの財務状況に大きな負担を与えるため、現実的に動けるかは不透明。
一方、パリ・サンジェルマンもアルバレスを注視しており、ウスマヌ・デンベレやブラッドリー・バルコラらサイドアタッカー陣を最大限に活かせるストライカーを探し求めている。この三つ巴の構図は、冬の移籍市場を大きく盛り上げる要素となるだろう。
アトレティコは当然ながら売却を拒む姿勢を見せている。シメオネにとってアルバレスは戦術の中心であり、クラブの象徴的存在でもある。しかし、これほどの金額を提示されれば、経営陣が揺らぐ可能性は否定できない。特に、クラブが新たな補強資金を必要としている場合、アルバレスの移籍は現実味を帯びる。
個人的な見解
今回の報道は、チェルシーが再び移籍市場で「本気」を示す兆候だと強く感じる。
アルバレスはすでにワールドクラスの証明を済ませた選手であり、彼を獲得できればチェルシーは攻撃陣の不安定さを一気に解消し、プレミアリーグでの競争力を大幅に高めるだろう。
1億5000万ユーロという金額は破格だが、彼の万能性と勝負強さを考えれば、投資として十分に合理的だ。
ただし、アトレティコが簡単に手放すとは思えない。シメオネにとってアルバレスは戦術の中心であり、クラブの象徴的存在でもある。もしチェルシーが本当に獲得に成功すれば、ヨーロッパの勢力図を揺るがす出来事になるだろう。
個人的には、この移籍が実現すれば、チェルシーの攻撃陣は一気にトップレベルへと進化し、プレミアリーグの覇権争いに再び名乗りを上げると確信している。