マンチェスター・ユナイテッドの再建は、前線の補強だけでは完結しない。ルベン・アモリムが率いる体制は、クラブの中盤に新たな軸を据えるべく動いている。
その中心にいるのが、ブンデスリーガで存在感を放つアンジェロ・スティラー。24歳のドイツ代表MFは、シュトゥットガルトでの躍進を経て、今やヨーロッパの複数クラブから熱視線を浴びている。
スペイン紙『Fichajes』によれば、ユナイテッドは冬の移籍市場で即座に動く可能性があり、6000万ユーロのオファーを準備しているとされる。
スティラーの市場価値は現在4500万ユーロ程度とされるが、ユナイテッドは競合クラブを出し抜くために高額を提示する構え。夏まで待てば解除条項が発動する可能性もあるが、アモリムは即座にチームへ組み込みたいと考えている。
この補強は、クラブの中盤構造を根本から変える試みだ。カゼミーロの契約満了が迫り、コビー・メイヌーやマヌエル・ウガルテの将来も不透明な中、ユナイテッドは新たなミッドフィルダーを必要としている。
アンジェロ・スティラーのプレースタイルとブンデスリーガでの進化
スティラーはバイエルン・ミュンヘンの下部組織で育ち、ホッフェンハイムを経て2023年夏にシュトゥットガルトへ加入した。そこからの飛躍は目覚ましく、わずか2年でクラブの中盤を支える不可欠な存在となった。これまでに公式戦98試合に出場し、6得点22アシストを記録。今季も国内リーグでは既に10試合で1ゴール3アシストと安定したパフォーマンスを披露している。
彼の最大の強みは、ゲームのテンポを自在に操る能力。守備的MFとして相手の攻撃を遮断するだけでなく、前線への鋭い縦パスで攻撃のスイッチを入れる。
ポジショニングの柔軟さと空間認知力は、プレミアリーグの激しいトランジションにおいても大きな武器になるだろう。さらに、シュトゥットガルトで培った冷静なビルドアップ能力は、ユナイテッドが抱える「中盤からの前進力不足」を解消する可能性を秘めている。
また、スティラーは戦術理解度が高く、監督の意図を素早く体現できる点も評価されている。アモリムが好むポジショナルプレーにおいて、彼の存在は中盤の安定と攻撃の推進力を両立させる要素となるだろう。ユナイテッドが目指す「攻守一体の中盤」を構築する上で、スティラーは欠かせないピースとなり得る。
プレミアリーグ移籍の現実味と競合クラブの存在
ユナイテッドがスティラー獲得に本腰を入れる背景には、クラブの現状がある。昨季は15位という屈辱的な成績に終わり、再建の必要性が叫ばれている。
アモリムは前線の補強を終えた今、中盤の刷新を最優先課題に据えている。スティラーはそのリストの中でも最上位に位置しており、クラブ幹部も高く評価している。
ただし、獲得は容易ではない。シュトゥットガルトは2028年まで契約を結んでおり、夏には解除条項が発動する可能性があるため、クラブはそれを阻止すべく動いている。
さらに、レアル・マドリードをはじめとする欧州のビッグクラブも関心を示しており、争奪戦は必至だ。ユナイテッドが冬に強行突破を図るのか、それとも夏まで待つのか、その判断が移籍の成否を分けるだろう。
個人的な見解
アンジェロ・スティラーは、マンチェスター・ユナイテッドが求める「中盤の心臓」として理想的な人材だと感じる。
彼の冷静なゲームコントロールと攻守両面での貢献度は、プレミアリーグの激しさに適応できる資質を備えている。
特に、ユナイテッドが長年抱えてきた「中盤の不安定さ」を解消する可能性が高い。カゼミーロの後継者としてだけでなく、チームの未来を形作る存在になり得るだろう。
一方で、移籍市場の現実は厳しい。シュトゥットガルトが手放す意思を持たない限り、ユナイテッドは高額なオファーを提示するしかない。
6000万ユーロという金額は決して小さくないが、クラブの再建を考えれば投資する価値はある。アモリムが描く新しいユナイテッドの中盤像に、スティラーがどのように組み込まれるのか。その未来図は、ファンにとって大きな期待と興奮を呼び起こすに違いない。