マンチェスター・シティがロドリの将来を巡り、レアル・マドリードにジュード・ベリンガムを要求するという報道が急浮上している。
スペイン紙『Fichajes』によれば、ペップ・グアルディオラがロドリ＋金銭を提示し、総額150億円規模の取引を提案したと伝えている。しかし、フロレンティーノ・ペレス会長とシャビ・アロンソ監督がベリンガムをクラブの未来の中心と位置づけている以上、現実的な成立可能性は極めて低い。
シティはロドリの負傷リスクや契約延長問題を抱え、未来の中盤像を模索している。一方のレアルは、ベリンガムを中心に据えた新時代の構築を進めており、両者の思惑が交錯することで移籍市場に緊張感を生み出している。
ロドリの存在価値とマンチェスター・シティの葛藤
ロドリはシティの戦術において、攻守のバランスを支える不可欠な存在。ビルドアップでは最終ラインに吸収される可変アンカーとして数的優位を作り、守備では縦パスのレーンを閉じることで相手の攻撃を寸断する。彼のポジショニングと判断力は、シティの高いラインを成立させる基盤であり、数字以上に試合の流れを支配している。
しかし、昨季から続く負傷の影響や過密日程による疲労は、クラブにとって大きな懸念材料。グアルディオラは「もしロドリを手放すなら、同等以上の支配力を持つ選手が必要だ」と考えており、その答えとしてベリンガムを思い描いている。
ベリンガムはアンカーではないが、前線での推進力と得点力、試合を決定づける存在感を備えており、シティの中盤に新たな勝ち筋をもたらす可能性がある。
この構想は、シティがロドリの代替を探すだけでなく、チームの戦術的進化を意識したものだ。ベリンガムを獲得すれば、シティは中盤の重心を前方に移し、攻撃的な支配を強化できる。だが、それは同時に守備の再設計を迫る高度な挑戦でもある。
レアル・マドリードの未来設計とベリンガムの不可侵性
レアル・マドリードにとって、ベリンガムは単なる得点源ではない。彼はクラブの物語を前へ押し出す象徴であり、戦術の中心であり、ファンの期待を背負う存在。シャビ・アロンソの下で、フェデリコ・バルベルデ、オーレリアン・チュアメニ、エドゥアルド・カマヴィンガとともに形成する中盤は、強度と創造性を兼ね備えた新時代の象徴となっている。
ペレスがベリンガムを「売却不可」とするのは合理的。彼は得点力、推進力、ライン間での支配力を兼ね備え、クラブの未来を形作る存在である。ロドリがいかに優れた選手であっても、レアルがベリンガムを手放す理由は見当たらない。むしろ、ロドリ獲得のために他の選手や資金を動員する可能性の方が現実的だ。
さらに、ベリンガムは今季序盤に負傷で出遅れたものの、直近の代表戦では復帰し、イングランド代表の勝利に貢献している。この復調は、レアルにとって彼の重要性を再確認する材料となり、売却の可能性をさらに遠ざけている。
個人的な見解
マンチェスター・シティの構想は、戦術的な進化を意識した大胆な試みだ。ロドリの代替を探すだけでなく、ベリンガムを迎えることで中盤の重心を前方に移し、攻撃的支配を強化する青写真は、グアルディオラらしい革新性を感じさせる。
しかし、現実的にはレアルがベリンガムを手放す可能性はほぼゼロに近い。彼はクラブの未来を象徴する存在であり、売却はプロジェクトの根幹を揺るがす行為になる。
むしろ注目すべきは、シティがロドリの契約延長をどう進めるか、そしてベリンガム級の前方支配をもたらす別解を探し続けるかだ。
例えば、インサイドハーフの育成や新たなアンカーの発掘など、クラブの戦略的選択肢は多岐にわたる。移籍市場は物語を生むが、物語を現実に変えるのはクラブの一貫性と選手の適応力だ。シティとレアルの中盤覇権争いは、今後も欧州サッカーの中心的テーマであり続けるだろう。