スタンフォード・ブリッジの補強戦略は、再び守備の強化に焦点を当てている。ポルトガル紙『Record』の報道によれば、チェルシーはスポルティングCPのセンターバック、ウスマン・ディオマンデ獲得に本腰を入れている。
21歳のコートジボワール代表は、昨季のプリメイラ・リーガ制覇に大きく貢献し、ゴンサロ・イナシオとの鉄壁コンビでリーグ最少失点を記録した。彼の存在感は、クラブの将来の最終ラインを司る守備の核として認識されている。
ディオマンデの契約には8000万ユーロの解除条項が設定されているが、スポルティングは6000万ユーロ前後での交渉に応じる姿勢を見せ始めている。これは、財政的に再建途上のチェルシーにとって大きなチャンスだ。
さらに、アーセナルも同選手に強い関心を示しており、ロンドンの両雄による熾烈な争奪戦が展開されている。この構図は、かつてのピエール＝エメリク・オーバメヤンやカイ・ハフェルツの移籍劇を彷彿とさせる。
ディオマンデのプレースタイルとチェルシーへの適合性
ディオマンデの最大の武器は、フィジカルとスピードを兼ね備えた守備力だ。190cm近い長身ながら、俊敏なカバーリングで広大なスペースを守り切る。空中戦の勝率はリーグでもトップクラスであり、対人守備では相手のストライカーを徹底的に封じ込める。
さらに、ビルドアップ能力にも優れ、後方からの縦パスで攻撃のスイッチを入れることができる。これは、ポチェッティーノ監督が志向する前進的なサッカーにおいて不可欠な要素だ。
チェルシーの現状を見れば、ウェズレイ・フォファナやブノワ・バディアシルといった若手センターバックはいるものの、怪我や安定感の欠如が課題となっている。
ディオマンデが加われば、守備の安定性だけでなく、攻撃の起点としても機能する可能性が高い。特に、プレミアリーグ特有の強度と速さに適応できる資質を備えている点は、クラブにとって大きな魅力だ。
一方で、アーセナルもディオマンデを高く評価しており、ミケル・アルテタの戦術においても彼の能力はフィットする。つまり、この移籍は単なる補強ではなく、ロンドンの覇権争いの一部として位置づけられる。両クラブが同じ選手を狙うことで、移籍市場はさらに熱を帯びている。
個人的な見解
ディオマンデの獲得は、チェルシーにとって守備の再構築を叶えることになるだろう。彼の存在は、クラブが再び欧州の舞台で競争力を取り戻すための基盤となり得る。
特に、若さと経験を兼ね備えたセンターバックは市場において希少であり、6000万ユーロという投資は将来的なリターンを十分に期待できる。
ただし、アーセナルとの競合は避けられず、交渉の行方はクラブの姿勢次第。チェルシーが本気で未来を託すなら、財政的リスクを取ってでもディオマンデを確保すべきだと考える。
彼がスタンフォード・ブリッジに立つ姿は、クラブの再生を象徴する光景になるだろう。逆に逃せば、ライバルに大きなアドバンテージを与えることになる。移籍市場の駆け引きは、ピッチ上の戦いと同じくらい熾烈だ。