23歳のセンターフォワード、トロイ・パロットがオランダで見せる輝きは、もはや偶然の産物ではない。AZアルクマールでの今季、彼はエールディビジ7試合で6ゴール1アシストという圧倒的な数字を残し、クラブの攻撃を牽引している。英『The Times』の報道によれば、トッテナムが彼の成長を注目しており、復帰の可能性が浮上している。
さらに、代表戦でも彼の存在感は際立つ。11月のハンガリー戦ではハットトリックを達成し、アイルランド代表をワールドカップ予選プレーオフへ導いた。代表通算33キャップで10ゴールという数字は、若手時代の有望株から実力者への変貌を証明している。
契約は2029年まで残っており、AZが簡単に手放す可能性は低い。しかし、トッテナムは育成した選手を再び獲得することで、前線の補強とクラブのアイデンティティ再構築を狙っている。
プレミアリーグ復帰を巡る攻防と移籍市場の視点
トッテナムだけでなく、エヴァートンやリーズ・ユナイテッドもパロットに関心を示しており、移籍市場での競争は激化する見込みだ。AZは契約期間の長さを盾に高額の移籍金を要求する可能性が高く、2000万ユーロ以上のオファーが必要になると予想される。
トッテナムにとっては、ハリー・ケイン退団後の「純粋なストライカー不足」を埋める絶好の機会となる。リッチャルリソンやドミニク・ソボスライが前線を支えているものの、中央でゴールを量産できる選手は不足している。パロットの復帰は、クラブにとって攻撃の多様性を取り戻す鍵になるかもしれない。
一方で、過去に成功を収められなかったプレミアリーグの強度に適応できるかは未知数。エールディビジでの成功がそのままイングランドで通用するとは限らない。また、トッテナムは彼にとっての古巣クラブであり、良いイメージがない可能性も否めない。
しかし、代表戦でポルトガルやハンガリーといった強豪相手に結果を残したことは、彼が国際舞台でも通用する力を持つことを示しており、国内リーグで上位争いを展開するトッテナムにとっては理想的なターゲットと言える。
個人的な見解
トロイ・パロットのキャリアは、若手が早期に期待を背負いすぎた典型例だった。
トッテナムで芽が出ず、ローン移籍を繰り返す中で「忘れられた才能」と見られた時期もあった。
しかし、AZアルクマールでの躍進は、環境が選手を大きく変えることを改めて証明している。オランダの攻撃的なリーグで自信を取り戻し、数字で結果を残す姿は、かつての期待を超える可能性を感じさせる。
個人的には、トッテナムが彼を呼び戻すことは大きな挑戦になると考えている。プレミアリーグの強度はエールディビジとは比較にならないが、パロットが今の勢いを維持できれば、クラブにとって新たな武器となるだろう。
彼が「育成失敗の象徴」から「復活のストーリー」を描く存在へと変わる瞬間を、サッカーファンとして心から見届けたい。