2025/26シーズンのトッテナムは、大きな転換期を迎えている。アンジェ・ポステコグルーの退任後、ブレントフォードで手腕を発揮したトーマス・フランクが新監督に就任。だが、クラブの象徴だったソン・フンミンが今夏に退団したことで、攻撃陣は大きな空白を抱えている。
デヤン・クルゼフスキやジェームズ・マディソンが負傷に苦しみ、リチャーリソンや新加入のランドル・コロ・ムアニも期待通りの結果を残せていない。唯一、モハメド・クドゥスが攻撃の中心として輝いているが、左ウィングの不在は明らかだ。
そこで浮上しているのが、クラブ・ブルッヘで躍動するギリシャ代表ウィンガー、クリストス・ツォリスだ。海外メディア『Voetbalnieuws.be』によれば、トッテナムは彼の獲得に強い関心を示しており、移籍金は3500万〜4000万ユーロと見込まれている。
ツォリスのプレースタイルとトーマス・フランクの戦術的狙い
ツォリスは左ウィングを主戦場としながらも、右サイドや中央でもプレー可能な柔軟性を持つ。179cmの体格に加え、縦への推進力とゴール前での冷静さを兼ね備え、クラブ・ブルッヘでは得点とアシストの両面でチームを牽引してきた。
2024/25シーズンには公式戦で37のゴール関与を記録し、今季もすでにリーグと欧州を合わせて8ゴール9アシストをマーク。ギリシャ代表でもスコットランド戦で決定的なゴールを決めるなど、国際舞台でも評価を高めている。
トーマス・フランクの戦術は、前線の流動性とハードワークを重視する。ブレントフォード時代から、ウィンガーに守備参加と縦の推進力を求めており、ツォリスのスタイルはその哲学に合致する。
ソン退団後の左サイドはリチャーリソンやウィルソン・オドベールが試されているが、決定力と安定感に欠ける。ツォリスが加われば、クドゥスやシャビ・シモンズとの連携で攻撃の厚みが増し、フランクが目指す「攻撃の再建」に直結するだろう。
個人的な見解
トッテナムがツォリス獲得に動くのは極めて合理的だ。ソン・フンミン退団後の左ウィングはクラブ最大の弱点であり、ツォリスのような若く才能ある選手を迎えることで、攻撃の再構築が現実味を帯びる。
彼の突破力と決定力はプレミアリーグでも十分通用し、フランクの戦術においても重要な駒となるはずだ。
ただし、競合クラブの存在は無視できない。アストン・ヴィラやウェストハムに加え、欧州の強豪も関心を寄せている。
トッテナムがこの争奪戦を制するには、単なる資金力ではなく、明確なビジョンを提示する必要がある。
フランクが築こうとしている新しい攻撃スタイルにツォリスがどう組み込まれるのか、その説得力が移籍交渉の鍵を握るだろう。
個人的には、ソン退団後の空白を埋める存在として、ツォリスがスパーズの未来を担う姿を見たい。彼の爆発的な才能がロンドンの夜を再び輝かせる日を期待している。
