エミレーツのスタンドに響く歓声を想像してほしい。左サイドを切り裂く若きフランス人FWジャン=マテオ・バホヤが、プレミアリーグの舞台で躍動する姿。フランクフルトで燻る20歳のウィンガーに、アーセナルが熱い視線を送っている。ドイツ紙『Sport1』が報じたように、クラブは来年の移籍市場で彼を獲得する構えを見せている。
フランクフルトでの歩みと現在地
バホヤは2024年1月にアンジェからフランクフルトへ移籍した。移籍金は800万ユーロ。期待を背負ってドイツへ渡ったが、初年度は出場機会に恵まれず、わずか2ゴールに終わった。しかし今季は開幕戦でブレーメンを相手に2得点を挙げ、続くホッフェンハイム戦ではアシストも記録。爆発的なスタートを切った。
その後は得点ペースが落ち着いたものの、ドリブル突破や前線での推進力は際立ち、フランクフルトの攻撃に厚みを加えている。今季ここまでの公式戦では2ゴール1アシストを記録し、93回のドリブルを仕掛けるなど積極性を示している。数字以上に、ピッチ上での存在感がクラブ内外の評価を高めている。
ミケル・アルテタ率いるアーセナルは、プレミアリーグ首位を維持しながらも攻撃陣の再編を視野に入れている。レアンドロ・トロサールは30歳を超え、契約延長の可能性が不透明。ガブリエル・マルティネッリは爆発力を備えるが、波の激しいパフォーマンスに悩まされている。クラブは左サイドに新たな競争を導入する必要がある。
バホヤは左サイドを主戦場としながら、中央や右でもプレー可能な柔軟性を持つ。縦への推進力とドリブル突破力は、アルテタの攻撃的スタイルに自然と溶け込むだろう。さらに若さゆえの伸びしろが大きく、数年後にはクラブの象徴的存在へ成長する可能性を秘めている。
8000万ユーロの価値を巡る攻防
フランクフルトはバホヤに8000万ユーロの値札を掲げている。これはクラブ史上二番目に高額な売却となる可能性を持つ。アーセナルがこの金額を支払うかどうかは大きな焦点だ。
近年のアーセナルはデクラン・ライスに1億ユーロ近い投資を行い、カイ・ハフェルツにも巨額を投じている。クラブは財政的に安定しており、欧州トップクラブとしての地位を固めるためにさらなる投資を惜しまない姿勢を見せている。
しかし、バホヤはまだ完成されたスターではない。投資としてのリスクは高いが、成功すればクラブの未来を塗り替える可能性がある。アーセナルが交渉で価格を引き下げる努力をするのか、それとも大胆に支払うのか。決断はクラブの哲学を映し出す。
個人的見解
私の見立てでは、バホヤ獲得はアーセナルにとって未来への投資である。彼の現状はフランクフルトでの不安定な出場機会だが、プレミアリーグの環境で爆発的な成長を遂げる可能性は十分にある。
アルテタの下で規律と自由を両立させた攻撃的スタイルに適応すれば、マルティネッリと並び立つ存在となり、クラブの左サイドは数年間にわたり安定するだろう。
一方で、8000万ユーロという金額は冷静に考えれば過大評価の域にある。アーセナルがこの投資を正当化するには、バホヤが即座に結果を残す必要がある。
もしも彼が数年かけて成長するタイプであれば、クラブは忍耐を強いられる。私自身は、アーセナルが交渉で価格を引き下げる努力をすべきだと考える。市場の熱気に飲み込まれるのではなく、冷静な判断を下すことがクラブの未来を守る鍵になる。
結論として、バホヤは「眠れる才能」であり、アーセナルがその扉を開けるかどうかが今後の焦点となる。彼がエミレーツの芝を駆け抜ける姿を想像すると、ファンの胸は高鳴る。
しかし同時に、クラブの決断には冷徹な計算が求められる。情熱と理性、その狭間でアーセナルは次の一手を選ぶことになる。
