移籍市場の熱気はすでに冬を前に高まりつつある。インテル・ミラノが再びアストン・ヴィラの守護神、エミリアーノ・マルティネス獲得に動いていると、海外メディア『Flashscore』が伝えた。
アルゼンチン代表のワールドカップ王者であり、2023年と2024年に連続でヤシン賞を受賞した彼は、プレミアリーグで最も信頼されるゴールキーパーの一人だ。
背景にはヤン・ゾマーの契約問題がある。スイス代表のベテランは2026年夏に契約満了を迎えるが、クラブとの延長交渉は進展していない。クリスティアン・キヴ監督はゾマーの安定感を評価しつつも、来季以降の守護神像に不安を抱えている。そこで浮上したのが、ヴィラ・パークで絶対的な存在感を放つマルティネスだ。
アストン・ヴィラは過去にもインテルからの接触を拒んできたが、今季は事情が異なる。適切なオファーが届けばヴィラはマルティネスの放出を容認する構えを見せている。その条件は、後継者を確保できるかどうか。ウナイ・エメリ監督はジェームズ・トラフォードらをターゲットに据え、盤石な体制を整えた上での決断を望んでいる。
アストン・ヴィラとインテルの思惑が交錯する移籍市場
マルティネスは2020年にアーセナルからヴィラへ移籍して以来、プレミアリーグ屈指のショットストッパーとして評価を高めてきた。2025/26シーズンも既に9試合に出場し、3度のクリーンシートを記録している。そのセービング能力だけでなく、試合終盤に見せる冷静さと闘志はチームの精神的支柱となっている。
一方のインテルは、チャンピオンズリーグでの再挑戦を視野に入れ、守備の安定を最優先課題に掲げている。ラウタロ・マルティネスを中心とした攻撃陣は欧州でも通用する力を備えているが、後方の不安定さは致命傷になりかねない。ゾマーの契約問題が長引けば、マルティネス獲得はクラブの戦力を維持するための手段となる。
さらに、マルティネス自身も新たな挑戦を望んでいる節がある。昨夏にはマンチェスター・ユナイテッド移籍が破談となり、本人の夢は潰えたが、ヨーロッパの舞台でさらなる栄光を追い求める意欲は衰えていない。インテルという伝統あるクラブで、再び大舞台に立つ可能性は彼にとって大きな魅力だろう。
ヴィラにとっては痛みを伴う決断になる。エメリ監督の下でヨーロッパの舞台を目指すクラブにとって、マルティネスの存在は不可欠だ。しかし、適切な後継者を確保できるならば、クラブの長期的な成長のために放出を選ぶ可能性は十分にある。
個人的な見解
今回のインテルの動きは、クラブの未来を見据えた戦略的な選択だと感じる。ゾマーは経験豊富で信頼できる守護神だが、契約満了が迫る中で次なるGKを据える必要がある。
マルティネスはその条件をすべて満たしている。世界的な実績、精神的な強さ、そして大舞台での勝負強さ。インテルが彼を獲得できれば、守備の安定性は飛躍的に高まるだろう。
一方で、アストン・ヴィラにとってはクラブの絶対的な守護神を失うことになる。だが、エメリ監督が後継者を確保できれば、新たな挑戦の始まりとなる。
私自身は、この移籍が実現すればインテルにとっては守備の大黒柱を得る大きな成功となり、ヴィラにとっては新たな挑戦の始まりになると考えている。
マルティネスのキャリアは、まだ次の章を迎える準備が整っている。冬の移籍市場は、彼の未来を決定づける舞台になるかもしれない。
