ヨーロッパの移籍市場を騒がせている名前がある。オリンピック・マルセイユに所属する18歳のセンターフォワード、ロビニオ・ヴァズだ。
フランスとギニアビサウの二重国籍を持つこの若き才能は、今季2025/26シーズンのリーグ・アンでトップチームデビューを果たし、すでにプレミアリーグの名門クラブから熱い視線を浴びている。
海外メディア『Africa Foot』の報道によると、アーセナルとチェルシー、ロンドンの宿敵同士が同時に獲得を狙う構図は、移籍市場の緊張感をさらに高まっているようだ。
チェルシーはすでにヴァズ本人や代理人、さらにはマルセイユ幹部とも予備的なコンタクトを取っており、交渉の地ならしを進めている。一方のアーセナルも、アルテタの下で若手育成を重視するクラブ哲学に基づき、ヴァズのポテンシャルを高く評価している。
マルセイユは移籍金を1600万ユーロと見積もっているが、契約は2028年まで残っており、売却の必要性はない。この強気な姿勢が、両クラブの本気度を試すことになる。
ロビニオ・ヴァズのプレースタイルと可能性
ヴァズは身長185cmのフィジカルを活かしつつ、前線での柔軟な動きが光るストライカーだ。ペナルティエリア内での決定力に加え、前線からのプレスで相手守備陣に圧力をかける献身性を持ち合わせている。
さらに、ポストプレーやサイドに流れてスペースを作る動きも得意で、チームの攻撃を多彩にする存在。まだ粗削りな部分は残るが、18歳という年齢を考えれば伸びしろは計り知れない。
今季のリーグ・アンではトップチームで12試合に出場し、すでに4ゴールを記録している。出場時間は限られているものの、短いプレータイムで結果を残す姿勢は、クラブとファンに強烈な印象を与えている。ユース時代から積み上げてきた得点感覚は、トップレベルでも通用することを証明しつつある。
アーセナルに加入すれば、既存戦力に新たな競争をもたらすだろう。アルテタの戦術は前線からの組織的な守備と流動的な攻撃を重視しており、ヴァズの献身性と柔軟な動きはその哲学にフィットする可能性が高い。
一方、チェルシーは近年ストライカー問題に悩まされてきた。毎シーズンのようにセンターフォワードが代わり、安定した得点源を確立できず、攻撃の形が定まらない試合が続いている。ヴァズのような若手を早期に獲得し、育成しながらチームの軸に据えることは、クラブ再建において重要な一手となるだろう。
マルセイユの立場と移籍市場の駆け引き
マルセイユはヴァズをクラブの未来を担う存在として位置づけている。契約は2028年まで残っており、売却の必要性はない。
しかし、プレミアリーグの資金力を考えれば、1600万ユーロという評価額は十分に手が届く範囲だ。むしろ、数年後にその額が破格だったと振り返られる可能性すらある。
クラブにとっては、ヴァズを育成しながら価値を高めるか、あるいは早期に売却して資金を確保するかという選択が迫られる。ヨーロッパの移籍市場では、若手選手の価値が急速に跳ね上がることが珍しくない。マルセイユがどのタイミングで決断を下すかが、今後の展開を左右するだろう。
個人的な見解
アーセナルとチェルシーというロンドンの宿敵が同時に狙っている時点でそのポテンシャルは非凡と言わざるを得ない。
両クラブの本気度が交錯することで、彼の評価はさらに高まり、移籍市場での注目度は急上昇している。マルセイユが掲げる1600万ユーロという価格は、現時点では高額に映るかもしれないが、プレミアリーグの資金力を考えれば十分に現実的。
私自身の見立てでは、ヴァズは即戦力というよりも、クラブが未来を託すプロジェクト型の選手だ。アーセナルであればアルテタの育成環境の中で着実に成長し、チェルシーであれば混乱する攻撃陣の中で新たな象徴となる可能性を秘めている。
いずれにせよ、彼の選択はキャリアの方向性を大きく左右する。ロンドンの二大クラブが火花を散らすこの争奪戦は、移籍市場の醍醐味を体現するものだ。サッカーファンとして、この若き才能がどのユニフォームを纏うのか、その瞬間を心待ちにしたい。