プレミアリーグの驚きの一つはサンダーランドの快進撃。昇格組ながら堂々と上位に食い込み、その中心に立つのがスイス代表グラニト・ジャカである。この夏の移籍マーケットにバイエル・レヴァークーゼンから加入した彼は、わずか半年でチームの心臓となり、スタジアム・オブ・ライトを熱狂の渦に巻き込んでいる。
一方で、イタリアの名門ユヴェントスがグラニト・ジャカ獲得に動いているとの報道が相次いだ。英『Football Insider』が伝えるところによれば、ユヴェントスは1月の移籍市場で約2000万ユーロのオファーを検討している。
しかし、サンダーランドは即座に拒絶の姿勢を示した。マンチェスター・ユナイテッドらの元チーフスカウトのミック・ブラウンも「グラニト・ジャカはクラブの計画に不可欠であり、放出はあり得ない」と断言している。
サンダーランドでのグラニト・ジャカの存在感とプレースタイル
グラニト・ジャカのプレーは数字以上にチームへ影響を与えている。守備では相手の攻撃を寸断し、攻撃では縦への鋭いパスでリズムを生み出す。エヴァートン戦での初ゴール、古巣アーセナル戦での冷静なゲームメイクは、彼が経験豊富なベテランであるだけでなく、試合を支配する力を持つことを証明した。
サンダーランドは現在プレミアリーグ7位につけ、降格圏からは大きく距離を置いている。昇格組がここまで躍進する背景には、グラニト・ジャカのリーダーシップがある。若手主体のチームにおいて、彼の存在は精神的支柱となり、試合終盤でも落ちない運動量と冷静な判断力で勝ち点を積み上げている。
さらに、彼のプレースタイルはレジス・ル・ブリ監督の戦術に完璧にフィットしている。中盤での強度を保ちながら、攻撃の起点を作り出す役割を担うことで、サンダーランドは昇格組とは思えないほどの安定感を見せている。
ユヴェントスの補強戦略とグラニト・ジャカの立ち位置
ユヴェントスは近年、中盤の再構築を急いでいる。かつてアンドレア・ピルロやクラウディオ・マルキジオが支配した中盤は世代交代の真っ只中にあり、経験豊富で即戦力となる選手を探している。グラニト・ジャカはその条件を満たす存在。
しかし、アルフレード・ペドゥッラらイタリアの専門家は「グラニト・ジャカはサンダーランドで満足しており、ユヴェントスが高額を投じる可能性は低い」と分析している。年齢的にも投資対象としてはリスクがあり、ユヴェントスが本気で動くかは疑問視されている。
それでも、ユヴェントスが彼に目を向ける理由は明確だ。セリエAで再び覇権を握るためには、経験とリーダーシップを兼ね備えた中盤の補強が不可欠であり、グラニト・ジャカはその条件を満たす数少ない選手の一人である。
個人的な見解
グラニト・ジャカの移籍話を追いながら強く感じるのは、彼がキャリアの晩年に差し掛かりながらも、プレミアリーグで新たな価値を生み出しているという事実。
アーセナル時代には批判も多かったが、サンダーランドでは成熟したリーダーとしてチームを牽引している。ユヴェントスが彼を欲するのは当然だが、サンダーランドが拒絶するのも合理的である。クラブの現状を考えれば、グラニト・ジャカを失うことは戦術的にも精神的にも大きな損失となる。
今後を展望するなら、ユヴェントスが夏の移籍市場で再び動きを見せる可能性は高いだろう。冬の移籍は難しいとしても、シーズン終了後には状況が変わる。
グラニト・ジャカ自身がどのような選択をするかも注目すべき。サンダーランドでさらに存在感を高めれば、クラブはより強固に引き留めるだろうし、逆にユヴェントスのようなビッグクラブで新たな挑戦を望む可能性もある。
いずれにせよ、この移籍話はヨーロッパの中盤市場における重要なテーマとして続いていく。グラニト・ジャカのプレーは今季のプレミアリーグを彩る大きな要素であり、彼の未来はサンダーランドとユヴェントス双方にとって決定的な意味を持つだろう。
