ローマに所属するスペイン人サイドバック、アンヘリーニョの去就が、夏の移籍市場で再び注目の的となっている。28歳の左サイドのスペシャリストは、当初移籍先と見られていたサウジアラビアのアル・ヒラルへの移籍が頓挫し、新たにイングランド勢による争奪戦が幕を開けた。
RBライプツィヒからのローンを経て、2024年夏に完全移籍を果たしたアンヘリーニョは、ローマで短期間のうちに主力へと定着。昨季はセリエAの全試合に出場し、クラウディオ・ラニエリ監督の下で19戦無敗という快進撃を支えた。最終的にリーグ5位でシーズンを終えたチームにとって、彼の存在は極めて重要だったと言える。
クラブの財政健全化に向けて選手売却が急務とされるローマは、アンヘリーニョをサウジアラビアの強豪アル・ヒラルに売却する方針を模索。移籍金はおよそ2000万ユーロとされ、ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)対応の一環として期待されていた。
だが、移籍はあくまでミランのテオ・エルナンデスがアル・ヒラルと合意に至らなかった場合の代替案に過ぎなかった。エルナンデスの交渉が前進していることで、アンヘリーニョへの関心は自然消滅したという。こうして、サウジ行きの道は閉ざされた。
ボーンマス、クリスタル・パレス、そして昇格組も注目
アル・ヒラルとの交渉が立ち消えとなったことで、アンヘリーニョには新たな選択肢が浮上している。伊『Il Messaggero』は、プレミアリーグのボーンマスとクリスタル・パレスが獲得に動いていると報道。特にパレスは、1200万ユーロのオファーを提示したとされる。
しかしローマはこれを即座に拒否。不十分と判断された背景には、クラブが6月30日までに1500万ユーロの資金調達を目指している事情がある。選手の市場価値を鑑みれば、売却益はより高額であるべきとの考えが内部にあるようだ。
今夏のプレミアリーグ昇格組であるサンダーランドもアンヘリーニョに興味を示している。ローマとの契約は2028年まで残っており、昨季の安定したパフォーマンスを考慮すれば、買い手側にとっては即戦力として申し分ない存在だ。
現時点ではローマが満足するオファーを受け取っていないことから、アンヘリーニョの去就はなお不透明だ。ただ、イングランドからの関心は具体化しており、今後さらに他クラブが動きを見せる可能性もある。
新シーズンからジャン・ピエロ・ガスペリーニ体制へと移行するローマは、来季のヨーロッパリーグ出場権を有しており、戦力維持が重要なテーマとなっている。一方で、FFPの問題を解決するための資金捻出は喫緊の課題でもある。
この夏、アンヘリーニョはセリエAに残留するのか、それともプレミアリーグの舞台で新たなチャレンジに乗り出すのか。