ジョン・ストーンズとハリー・マグワイアがレアル・マドリードに売り込みを実施!?

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ジョン・ストーンズとハリー・マグワイアがレアル・マドリードに売り込みを実施!? Manchester City

エデル・ミリトンの膝が悲鳴を上げ、彼がピッチに倒れ込んだ瞬間、レアル・マドリードの今シーズンのプランそのものが崩れ落ちる音が聞こえた気がした。守備の要であり、圧倒的なフィジカルで最終ラインを統率していたブラジル代表CBの長期離脱。

ただの戦力ダウンではなく、クラブの危機管理能力が問われる緊急事態の勃発を意味していた。周囲が騒がしくなり、冬の移籍市場での補強待望論が噴出するのは当然の流れだ。しかし、この喧騒の中で白い巨人が下した決断は、あまりにも冷静で、そして残酷なまでに合理的だった。

プレミアリーグからの甘い誘惑とマドリードの断固たる拒絶

ミリトンの離脱というバッドニュースが世界中を駆け巡った直後、マドリードのオフィスには早速解決策を持ち込む者たちが現れた。

スペイン紙『Fichajes』が報じたところによれば、プレミアリーグで実績を積んだ2人のビッグネーム、ジョン・ストーンズとハリー・マグワイアが仲介人を通じてレアル・マドリードに逆オファーされたという。

マンチェスター・シティの知性とも呼べるストーンズと、マンチェスター・ユナイテッドで酸いも甘いも噛み分けたマグワイア。両者ともに契約は2026年までとなっており、通常であれば高額な移籍金が必要となるクラスの選手だが、現在の状況下では比較的安価に獲得できる可能性があった。即戦力を求めるクラブにとって、これほど魅力的な「餌」はないように思える。

だが、フロレンティーノ・ペレスと強化部の回答は、驚くほど迅速かつ明確だった。「No」だ。彼らは提案に対して礼儀正しく感謝を示しつつも、交渉のテーブルに着くことさえ拒絶したのである。

その理由は彼らの現状とマドリードが求める基準との乖離にある。ジョン・ストーンズはそのエレガントなプレースタイルと戦術眼でグアルディオラの寵愛を受けてきた名手だが、近年の彼は常に怪我の影に怯えている。ミリトンの代役を探しているのに、計算の立たない選手を迎え入れては本末転倒だ。リハビリ室の住人を増やす余裕など、今のレアル・マドリードにはない。

一方のハリー・マグワイアについては、より戦術的なミスマッチが否認の理由となったようだ。ユナイテッドで不安定な時期を過ごし、環境を変えることに前向きだったとされるが、ハイラインを敷き、広大な背後のスペースをカバーする能力が求められるマドリードのセンターバックとして、彼のスピードと敏捷性は致命的な欠点となり得る。

年齢的にもベテランの域にあり、将来的な転売価値も見込めない。あくまで「その場しのぎ」にしかならないパニックバイを、世界最高のクラブは良しとしなかったのだ。求めているのは単なる頭数合わせではなく、白いユニフォームの重みに耐えうる真のエリートだけなのだという強烈な自負が透けて見える。

既存戦力への絶対的信頼と来夏に向けたマドリードの野望

ジョン・ストーンズやハリー・マグワイアといった、ある種の劇薬を拒否したレアル・マドリードが選択したのは、既存戦力への信頼という極めて保守的かつ勇気ある道だった。シャビ・アロンソ監督率いる現場とフロントは、アントニオ・リュディガーという闘将を中心とした現有戦力でこの難局を乗り切れると判断している。

もちろん、これは薄氷を踏むような賭け。だが、若き才能であるハイセンが確かな成長の歩みを見せ、カスティージャから昇格したラウール・アセンシオの台頭が、その判断を後押ししていることは間違いない。

若き才能がトップレベルのプレッシャーの中でどれだけ成長できるか、クラブはそこにテストの場を与える腹積もりだ。さらに、負傷から復帰を目指すダビド・アラバが徐々にコンディションを戻し、中盤の底からオーレリアン・チュアメニが最終ラインに降りてくるオプションも計算に入れている。

中途半端なベテランでお茶を濁すくらいなら、夏に若く才能あふれる真のワールドクラスを獲得する。そのリストの最上位には、バイエルン・ミュンヘンのダヨ・ウパメカノや、クリスタル・パレスで評価を急上昇させているマルク・グエイといった名前が挙がっている。

ミリトンの離脱は確かに痛手。しかし、それがクラブの長期的ビジョンを歪める理由にはならない。目先の勝利のために哲学を曲げないこの姿勢こそが、レアル・マドリードを欧州の王たらしめている所以なのかもしれない。冬の静寂は、夏の嵐の前の静けさだ。

マドリディスタは今、歯を食いしばりながら若手の成長と主力たちの奮闘を見守るほかない。だが、その先には必ず、揺るぎない守備陣の完成という未来が待っているはずだ。

個人的な見解

今回のレアル・マドリードの決断は「正気とは思えないほどのギャンブル」でありながら、同時に「極めて論理的な経営判断」であると感じる。

ジョン・ストーンズのクオリティは疑いようがないが、プレミアリーグの過密日程でさえ稼働率が安定しない彼を、強度がさらに求められるマドリードの救世主として迎えるのはリスクが高すぎる。

ハリー・マグワイアに至っては、リーガ・エスパニョーラのスピード感とマドリードの守備戦術に適応するのに半年はかかるだろう。即効性が求められる冬の補強で、適応期間が必要なベテランを獲るほど無駄なことはない。その意味で、フロントの判断は冷徹だが正しい。名前に惑わされず、実効性を取った。

一方で、ラウール・アセンシオや復帰明けのダビド・アラバにシーズンの命運を託すことへの不安は拭えない。チャンピオンズリーグの決勝トーナメントという極限の舞台で彼らが本領を発揮できるのか。

もし守備崩壊でタイトルを逃せば、この冬の「静観」は激しい批判の的になるだろう。だが、それでも私はこのクラブの「美学」を支持したい。パニックバイで中途半端な選手を抱え込み、数年後に放出に苦労するサイクルを繰り返すクラブが多い中、レアル・マドリードは常に王道を行く。

苦しい時こそ若手を信じ、夏に本物を獲る。この揺るがない姿勢がある限り、白い巨人は何度でも蘇るだろう。